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 2014年度第1回IIS(国際インスティテュート)講演会が2014年3月29日(土)に明治大学リバティタワーで行われました。年度末での日にち変更などもあり、これまでに比べると少々少人数での開催となりましたが、時間ぎりぎりまで質疑応答がなされるなど、今回も大変充実した講演会でした。
 今回のテーマは「世界に羽ばたけ ヤングジャパニーズ -国境なき技術団-」で、日揮株式会社経営戦略室副室長の岩井龍太郎氏から、同社の先端的な業務や海外展開についてお話いただきました。第一部 岩井氏による講演、第二部 講師を囲んでのパネル・質疑応答という2部構成も、講師と会場が一体となり大変好評でした。
 講演の概略を示すと、まず、1)日揮株式会社の概要、2)事業紹介、3)1960年代からの海外展開(アルゼンチン、ベネズエラ、ペルー)等の紹介があり、経営者は「10年、20年先を見る必要」があるというお話がありました。興味深かったのは、4)日揮のグローバル化の起点となったアルジェリアの話で、設計や会議は現地で使われているフランス語を使用していたとのことです。5)今日のようにグローバルが意識されていなかった1957年日本初の大型製油所出光徳山製油所では、設計がグローバルベースで行われたことには驚きです。6)遂行プロジェクトの地域別シェア、7)世界での製造設備、プロジェクトの話も面白く、LNG製造大型プラントを設計できるのは世界で4社だけで、そのうちの2社は日本ということでした。地域により気候が異なるため、それぞれの気候にあった建設現場を作り上げることが必要で、例えばサウジアラビアでは最高+50℃にもなるため、効率よく水飲み場を作るのが成功のカギといいます。
 日揮では、トップによる現地視察や訪問国の首相・大統領との会談、建設地に住む部族との懇親会などが頻々に実施されているとのことでした。エンジニアリングの現場では若い人が重要な役割を果たしていますが、同時に、経験や信頼性も重要になるためトップセールスも大変重要だといわれる点もなるほどと思いました。
 外国人集団をリードする日本人の人材力への期待や海外での日本に対する評価も高いとのことです。日揮の日本人リーダーの現場では、労働者への指示は日本語ではなく彼らのことばで出すため間違いも少なく、毎朝のラジオ体操で気を引き締めたりしているため安全性も高く、多国籍の人が働く現場でも宗教的トラブルなども起きにくいとのことでした。
 多国籍間で仕事をする際は契約文書が重要になり、慣れない企業の場合、一歩間違えると大赤字を出すことも多々あるとも強調されていました。
 成長維持のための4E-Economy(経済成長)、 Education(人財育成)、Employment(雇用創出)をEngineeringで支え、人材育成では人を財産と考え人財育成と表現するというお話に感銘を受けました。職業訓練などにも力を入れ、韓国と合同で行っている職業訓練学校もあるとのことでした。共同事業を行なう際に外交が事業に影響を及ぼすことが無いかとの問いに対し、エンジニアリングの世界は政経分離の立場が取られることが多く、韓国や中国とも密な連携を取っているとのことでした。

 第二部は講師とパネリストによる質疑応答や討論が中心でしたが、参加者のみなさんからも様々な分野の質問があり、終了時間ぎりぎりまで熱心な討論が行われました。
 世界の最前線で活躍する企業のこれまでの経験、これからの展望は、グローバル化の進む現代においての日本、日本人の在り方をも考えさせられるものでした。「日本の常識は世界の常識ではない、日本人の文化・価値観を持ちつつ世界の文化・価値観を理解し共有することの大切さ」を実際に行動に移し、世界で成功を収めている日揮、そこで長年活躍されてこられた岩井氏のお話はとても説得力がありました。さらに、世界の日本に対する評価は高く、世界には親日の国が多いと知り、これから社会へ出る人はもちろん、現在社会で活躍されている人も前向きな気持ちになったのではないでしょうか。(文責:事務局・齋藤和恵)

岩井龍太郎氏
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