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 2015年度第1回IIS講演会が3月14日(土)に明治大学の紫紺館にて行われました。今回はまず、海外で活躍し帰国または一時帰国中の3名の帰国報告から始まりました。

☆小西貴子さん
 小西さんは現在ドイツの大学で環境エンジニア環境計画について学んでいます。日本は世界でもトップクラスの環境技術を有しているにも関わらず、環境政策ではドイツに比べて10年くらい遅れていて、技術に頼りすぎている印象があるとおっしゃっていました。今回は一時帰国中で、4月にはドイツに戻られ日本のある企業と協力して省エネ計画を立てるという論文を完成させるとのことです。

☆吉田充志さん
 アメリカのオレゴン州から帰国した吉田さんは、アメリカの大学を卒業後オレゴン州政府経済開発局でのインターンの経験とポートランドの魅力を街づくりという側面からお話くださいました。ポートランドは全米最も住みたい都市に3年連続選ばれており、成功した都市開発として知られているとのことです。ポートランドは環境意識が非常に高い都市であり、人気の秘密をお話くださいました。

☆屋代健一さん
 モザンビーク共和国から帰国した屋代さんは、JICAで派遣された児童養護施設の現状や仕事内容、他国からの支援についてもどのようなものがあるのかなどをお話してくださいました。家族の単位が日本より大きいモザンビークで孤児になる確率は低いが、障害を持っていたり、言う事を聞かないなどの理由で孤児になってしまった子どもたちを保護している施設でも、逃げ出す子どもたちがいる現状を変え、子どもたちに楽しく生活してもらうために力を注いでいたそうです。さらに、農業や裁縫の仕方を教えたり、イベントを企画したり、また、職員の意識を変えるために2年間尽力したそうです。

このような体験談を聞ける場所は限られているため、とても貴重な報告だったと思います。

 次に、これからのIISの体制について唐沢教授から説明がありました。

 開催はこれまで同様2カ月に1度のペースで年に6回行われます。最前線で活躍されている、または活躍された方の講演を基本にして、その他にもできる限り本を読むよう読書会も行う予定となっています。ただ講演を聞いて終わるのではなく、自らも可能な限りで学び、インプットで終わらぬようプロジェクトとして政策を作りアウトプットできるような体制で進めたいと考えているとのことです。現在、世界や私たちの身近で起こっていることをアカデミックの立場で考えることや、議論したことを実際の生活に役立てることは難しいです。現在の日本を見ていても、研究や調査はされるが、その成果を政策として打ち立て実行に移すのがとても難しいのが現状となっています。そこを政策まで持っていけるようプロジェクトとして動くようにしましょうとのことです。
 さらに、大切にしたいことはネットワーキングパーティです。講演会だけではなかなか先輩方と交流を持つ時間が限られているため、この機会に世界の最前線で活躍されてきた先輩方と世代を越えた交流を持っていきたいと考えておられます。

 今回の講演テーマは「経済社会の変革と新しい日本の創造‐きみは激動の世界を見たか?-」で、IIS代表であり、立命館大学名誉教授の唐沢敬教授から現在の世界をどのように見ていくか、さらにどのように行動していくべきかについてお話していただきました。

 まず、現在世界で起こっているさまざまな事を繋げる時はある程度の歴史を踏まえて見ていくことが大切と指摘されました。そして、石油危機後40年を見ていきました。原油価格の急落はなぜ起こるのでしょうか。一つは、原油価格とは金融であり、石油価格は石油市場では決めることはできないためです。石油は様々な物質に化けており、私たちの生活を見ていても衣食住すべてに関係してきます。そのため二つめの理由として、先物市場の発達で石油会社や原油業者などの実需家以外の市場参加者やトレーダーの激増が挙げられました。石油価格を見ていくと、なぜ石油はドル建てドル払いなのかという疑問も出てきます。それはアメリカがサウジアラビアと協定を結び、マーケットでのドル使用を決定し、実質的にマーケットを支配した形となったからです。これにより、産油国だけでなくマーケットを支配したアメリカも利益を得るようになりました。石油は国の経済だけでなく、発展に大きく関わる戦略方式でもありました。また、第二次世界大戦前のアメリカが日本へエネルギー源の輸出ストップをした後、日本はエネルギーを求めて戦争へと進んだように、戦争の要因にもなります。現在は技術の発達によりアメリカではシェールガスを岩から取りだせるようになりました。これまで産油国ではなかった国が産油国になることにより、石油価格が下がり困る国が出てきます。これからシェールガスがどのようになっていくかはなかなか見えませんが、全体の構造変化がどうなっていくかを見ていく必要があるとのことです。
 次に、「イスラム国」・ウクライナ問題と日本の立ち位置について言及されました。「イスラム国」を見ていく時に、イスラム国は後継者による支配であるカリフ制復活を掲げているが、最大の標的はアメリカやヨーロッパではなく、イスラム教内なのかもしれないと感じる面があるため、政治的な事だけでなく、宗教的な視点でも見ていくことが必要だと考えておられました。戦後中東問題を語る時に、イスラエルとパレスチナの戦い(独立・主権の問題)と冷戦の構造(戦争か平和か)の2つが軸となっていました。しかし、湾岸戦争で初めてイラクのフセイン政権がクエートを攻めたことにより、アラブ人同士の戦いになりました。そして今回のイスラム国の問題で、戦後の中東問題は変化してきています。それを受けて、私たちが中東と聞いて怖いとただ思うのが一番良くないと言及されました。もっと正確に見ていく必要があるとのことです。これまで日本は国連中心主義と掲げてやってきましたが、今後は国連をもっと強化するように舵を取るべきだと考えており、現地の人の話をよく聞くこと、人・物の交流をもっとすること、さらに日本はアメリカに助言をすることなどできることはたくさんあるとお話くださいました。
 最後に、今後の日本について、しなやかで強靭な新しい日本の創造として、民主主義でみんな発言できるにも関わらず、今の日本は壁を作ってしまう人が多いのでその壁を払ってもっと発言を活発にしていこうという意味でしなやかを用いたとのことです。さらに、一人一人はもっともっと学んでいくことが重要だとお話くださいました。

 今回のお話を聞き、現在私たちが日々目にしているメディアからの情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、その背景や真意を見抜く力が今後ますます重要になってくるのだと思いました。そのためにも私たちは学んで、学んで、学んでいかなければいけないと気持ちを新たにさせられました。


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