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 「国際研究インスティチュート」(IIS)はこれまで国際協力と途上国支援の強化を軸に国内外で生起する契緊の課題について世論を喚起し、世代を超えた議論を組織する活動を展開してきました。今回は本年度第2回講演会を政策パネルとして下記の企画を実施しました。
 昨年6月の英国国民投票により同国のEU離脱の方向が選択されて以来、欧州の混乱は新しい局面を迎えるに至りましたが、本年1月には「米国第一」を掲げるトランプ政権が誕生し、これに中東情勢の混迷とテロ活動の激化が重なって、いまや世界経済と国際関係は全く新しい状況に突入したかの感があります。これは日本の国際協力と途上国支援にとって一段の工夫と進化が必要になってきていることをも示唆しています。
 今回の政策パネルでは、各分野の専門家や一般の方々に集まっていただき、欧州、中東、アフリカ、中央アジアを中心にいま世界で何が起きているのか、政治経済・社会の実態に即して分析し、専門性を持った幅広い議論を組織しました。

 報告者(唐沢敬・IIS代表)は一昨年以来英国を前後6回、UAE(アブダビ・ドバイ・フジャイラ)その他を7回訪問しながら調査研究に従事し、本年4月にはカザフスタンでの国際会議参加と国立研究技術大学での講義を実施してきました。今回の政策パネルではこうした一連の調査研究を通して浮かび上がってきた世界経済と政治秩序の変化の実態を詳しく報告し、幅広い議論と政策研究につなげることができたと思っています。
 国民投票で英国のEU離脱(Brexit)が選択されたのが昨年6月、これを一つの契機に世界の様相はまた一つ変化したように思います。米欧諸国からアジア・アフリカ・中東地域にまたがって一般の予想を大きく越える事件が相次ぎ、政治秩序と経済体制が根底から揺らぐ事態となっているからです。難民の大量発生と欧州への流入、テロの多発、中産階級の没落、経済社会の分断、政治変動の進行等に代表される事態ですが、世界経済と国際関係が新たな歴史的過程に入りつつあることは間違いないようです。
 こうした状況は日本の政治経済、とりわけ、アベノミクスやその成長戦略、企業活動、国民生活等にも直接影響する内容を含んでおり、国民的な議論が求められています。しかし、これまでの議論にみるかぎり、その多くはトランプ大統領個人の言動やそれに対する反論など個別的、表面的な問題に終始し、歴史的な過程の進行や国際環境の変化、とりわけ、アメリカ主導による戦後世界秩序の動揺や世界経済の歪な発展、金融資本主義化、中産階級の没落等といった問題の本格的検討にまでは至っていません。
 今回の政策パネルでこうした問題に多少でも手がかけられたのではないでしょうか。

                    記

1) 名 称:国際研究インスティチュート(IIS)政策パネル
2)日 時:2017年7月1日(土)14:00~16:50(開場:13:30)
3)場 所:JICA地球ひろば「セミナールーム600
       東京都新宿区市谷本村町10-5(JICA市ヶ谷ビル内)
4)報 告:唐沢 敬
      (国際研究インスティチュート代表、立命館大学名誉教授)
   演 題: 「激動の世界と日本:政策の貧困が招く不幸の拡散
       -欧州、中東、中央アジア の現実に見るグローバル化の挫折」
5)モデレーター: 杉田弘毅 (共同通信論説委員長)


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