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アフガンからの撤退を余儀なくされたワケ

最近の気に掛かる記事: 青沼 陽一郎 : 作家・ジャーナリスト

アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退について、バイデン大統領は台頭する中国への戦略的競争を理由に挙げている。アメリカにとって「テロとの戦い」はこの20年で足かせとなり、アフガニスタン駐留に注ぎ込んだ膨大な予算と兵力を、中国を念頭にアジア太平洋地域に向ける必要に迫られた。戦略的資源の割り振りの再編だ。

私が20年前に見たアメリカ同時多発テロ事件直後の現場。それからの20年を取材してきた米中両国の状況。そこにアメリカが国際戦略を見誤ったひとつの糸口を見出すことができる。というより、アメリカは対中戦略において20年前のテロ事件と同時に大きな“勘違い”をしていた。

アメリカ同時多発テロの起きた20年前は、まだ中国は国内総生産でも世界第2位だった日本の後塵を拝していた。東西冷戦の終結で世界唯一の超大国としてアメリカは「世界の警察」との自負もあった。そこに歴史上初の本土攻撃の汚辱も加わって、テロとの戦いに邁進していく。

中国がやがて資本主義、市場経済化、民主化していくとの観測が主流を占めてもおかしくはなかった。

ところが、アメリカにとってその中国への期待が大きく裏切られたことに気付きはじめたのは2010年代の前半、まだトランプ政権が誕生する以前のことだ。

2014年秋、私は首都ワシントンDCにいた。そこで政府関係者から聞いた言葉が、アメリカにとって事態の深刻さを示唆していた。

「中国はいつの間にか、世界のルールを作る国になっている」


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