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最近の気に掛かる記事: ニューズウイーク日本版 青葉やまと

<台風や豪雨は国内の問題に留まらず、世界規模の異常気象を代表する例となっていた>

地球温暖化の影響が懸念されるようになって久しいが、今夏はその影響を象徴するかのような出来事が相次いだ。

気温49.5度を記録したカナダ西岸では数百件の制御不能な森林火災が発生し、海ではムール貝が生きたまま半煮えとなった。ニューヨークでは先日、大規模な水害に見舞われ、地下鉄の昇降口に降り注ぐ滝のような雨の動画が出回っている。ヨーロッパでもシチリア島で48度超が報告され、欧州の観測史上最高を記録したほか、各地で山火事が多発している。

国内では気候変動に対する危機感がさほど高いというわけではないが、諸外国の出来事は対岸の火事と見るべきではないのかもしれない。ドイツNGOジャーマンウォッチ(Germanwatch)が今年初めに発表した『世界気候リスク指標2021』において、日本は気候変動のリスクが世界で4番目に大きな国となっている。水害が主な要因のひとつを占めており、気候変動への長期的な取り組みと同時に、これからの台風シーズンにも警戒が求められそうだ。

過去の実災害を、将来のリスクとして評価

気候リスク指標(CRI)は、当該年度に実際に発生した自然災害の被害を分析し、将来のリスクの大きさとして捉えたものだ。ドイツ・ミュンヘン再保険社が提供する世界最大規模の災害データベースをもとに、干ばつや洪水などの異常気象事象による被害を、死者数と経済的影響の両面から評価している。

最新の報告書では、現時点で最も新しい2019年分のデータを基準とした。各国をリスク指標の深刻な順に並べた「2019年に最も影響を受けた10ヶ国」ランキングにおいて、日本は世界180ヶ国中、4番目の高リスク国となった。台風のほか、この年7月に発生した豪雨が大きく影響した。

ワースト10諸国のなかでは日本は、異常気象による人口あたり死者数としてはインドに次いで少ない。一方で経済損失は約290億ドル(購買力平価ベースの換算で約3兆円)となり、この項目で首位のインドに次ぐ規模となった。主に経済的損失の規模が大きかったことで高リスクの判定につながったとみられる。なお、損失額は各国の購買力平価を考慮しているため、物価の高い国で額が過大になるわけではない。

ランキング入りは先進国では日本のみ

日本以外に危険度の高い10ヶ国としては、1位がモザンビーク、2位がジンバブエ、3位がバハマとなっている。4位の日本以降は順に、マラウイ、アフガニスタン、インド、南スーダン、ナイジェリア、ボリビアと続く。うち、モザンビーク、ジンバブエ、マラウイは主に大型のサイクロン「アイダイ」による影響、バハマはハリケーン「ドリアン」による被害が大半を占めた。

レポートをまとめたジャーマンウォッチは本指標を、将来的に異常気象による災害が頻発化・深刻化することを前提として、「各国が警告として捉える」べきだと訴えている。

一般に環境の変化に対しては途上国の方が脆弱な傾向にあり、最新の2019年では先進国からは日本のみがランク入りしている。世界銀行が定義するOECD加盟高所得80ヶ国・地域のうち、トップ10入りしているのは唯一日本となった。報告書は「日本の台風は、高収入国にあっても気候のインパクトがかつてないほど感じられるようになったことを示している」と述べ、先進国における深刻な気候変動の影響を物語る代表例だと位置付けている。

前年度調査では高リスク国の1位に

ひとつ年度を遡った2018年に関しては、日本は同ランキングで最も危険度が高い国となっている。同年7月には梅雨前線が活発化し、西日本を中心に北海道までの広い範囲が「平成30年7月豪雨(通称『西日本豪雨』)」に見舞われた。記録的な大雨となり、とくに長時間の雨量については観測史上1位を記録した地点が多発している。国土交通省資料によると、72時間降水量が史上最大となった観測点は全国で122ヶ所にのぼり、死者223名、家屋の浸水被害およそ3万棟を生む大災害となった。

同じ7月には記録的な猛暑も発生した。熱中症により、全国で1000名を超える人々が亡くなっている。日本の国立環境研究所などはこの事象を明確に気候変動の影響と捉えており、「このような猛暑の事例は、地球温暖化の進行に伴って今後も増え続ける」との予測を示している。

先進国で自然災害じわり

同年(2018年)には日本以外にも、先進国から2つの国が気候変動の甚大な影響を被った。この年のランキング3位はドイツとなっている。同年7月までの熱波で1000名以上の死者を出し、さらに10月の干ばつでは農業が壊滅的な打撃を受けた。9位となったカナダはマイナス45度の極寒で年を明け、5月には西岸の洪水で4000人以上が避難、夏季には2000件を超える山火事が発生している。

米ヒル誌は気候問題を、新型コロナによるパンデミックよりも「さらにじわじわと広がる、油断ならない敵」だと表現している。オックスフォード・エコノミクス社の予測によると、今世紀末までに気温が4度上昇すると仮定した場合、世界の国内総生産は最大で30%減少する可能性があるという。

台風や豪雨は国内の問題と捉えがちだが、少なくともデータが出ている2018年から2019年にかけては、世界規模で進行する温暖化の最も顕著な例のひとつであったようだ。


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