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最近の気に掛かる記事: ニューズウイーク日本版 飯山 陽

<女性の人権の尊重などソフト路線をアピールするタリバンだが、アフガン人にとっては彼らの二枚舌は常識だ>

8月にアフガニスタンの首都カブールを制圧しほぼ全土を支配下において以来、タリバンは外国メディアに対し「われわれは誰に報復するつもりもない」「誰も恐れる必要はない」と述べ、特に懸念される女性の人権についても「イスラム法の範囲内」で尊重する、女性の就学も就労も認めると断言した。

日本のメディアはこれを好意的に報じ、茂木外相も9月5日のNHK『日曜討論』で「かつての厳格なイスラム統治から一線を画して、イスラム法の範囲内だと言いつつ、表現の自由や女性の権利に言及するなど、過去にはなかった融和的な姿勢を示している」と評価した。

しかしアフガンの現状とタリバンの過去、そしてイスラム法とは何かを認識すれば、その主張を額面どおりに受け取り、タリバンは変わったと楽観することなどできない。

数十年間タリバンを見てきたアフガン人にとって、タリバンの二枚舌は常識だ。アフガン人は99%がイスラム教徒であり、「イスラム法の範囲内での女性の人権」の意味も知っている。

イスラム教徒にとってイスラム法は神の法だ。神は男と女のそれぞれにふさわしい「役割」を与えてくださったと彼らは信じる。女の役割は家事と子育てだ。女の子は生まれた時から妻となり母となるために生きることが運命付けられている。外出や就学、就業が禁じられるのは、それらが「役割」の妨げになるからだ。

タリバンは変わることなどない。近代的な意味での女性の人権を認めればイスラム法に抵触するからである。タリバンへの安易な期待は、アフガン女性をさらなる絶望の淵へと追い詰めるだけだ。


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