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「やる気が起きる」のを待っても永遠に起きない

最近の気に掛かる記事:東洋経済オンライン 大平 信孝 : メンタルコーチ

思い返せば、夏休みの宿題は最終日に慌てて片付けていた、というみなさん。今も、やらなければならないことを後回しにするクセは治らず、仕事でもプライベートでも「いつもギリギリにならないと動けない」「ズルズル先延ばしにしがち」という人も多いのでは?
ですが、脳科学と心理学の観点からメンタルコーチを行う大平信孝さんによると、それは「あなたのやる気や意志が弱いから」ではないそう。
大平さんの著書『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』 より、“すぐやる人”になるための2つのコツをご紹介します。

なかなか動けないのは脳のせい

人間の脳は生命維持のため、命に別状がないかぎり、できるだけ変化を避けて現状維持をしようとする防衛本能が働いています。

今までの生活習慣や行動をいっきに変えて新しいことをスタートさせようとするとき、最初の数日は気合いや根性でなんとかなります。でも、ほとんどの場合、長続きせず、三日坊主やリバウンドを起こすことになります。

これは、能力や性格、やる気の問題ではなく、この脳の防衛本能が、あなたの行動を抑制しようとすることが原因です。私たちの脳は、とても面倒くさがり屋なので、いっきに完璧に物事をやり遂げようとすることは、脳の仕組み上難しいわけです。

ですが、私たちの脳には「側坐核」と呼ばれる場所が存在します。この側坐核が刺激されると、意欲を高めたり、楽しいと感じる「ドーパミン」というホルモンが分泌されます。このドーパミンが行動力の源になるわけです。このスイッチを入れさえすれば、誰でもすぐに動くことができるようになります。

ここで重要なのは、側坐核というスイッチは、自動的にオンにはならないということです。つまり、「よし、やるぞ!」と気合いを入れるだけではスイッチを入れることはできないのです。

また、まわりの人から「頑張ってね!」「応援しているよ!」と応援されたり、「早くやれ!」「なんですぐに着手できないんだ!」と叱責されてもスイッチは入りません。

では、どうすればいいのでしょうか?

側坐核は、私たちがなんらかの行動を起こすことで刺激を受け、ドーパミンを放出します。「行動に着手」することで、はじめてスイッチがオンになるのです。

そうはいっても「すぐ動けないから困っているんだけど……」と、いう声も聞こえてきますが、大丈夫。側坐核のスイッチを入れるために必要な行動は「ほんの少し」だけでもいいんです。

さらに、脳には「可塑性」という性質が備わっています。可塑性とは、大きな変化は受け入れずに元に戻そうとする一方、小さな変化は受け入れるという脳の性質のことです。

つまり、いきなり大きく変わろうとせずに、小さなアクションから始めていけば、面倒くさがりで、変化を嫌う脳でも対応できるのです。

しかも、その小さなアクションは、「勉強のテキストを開く」「パソコンの電源をつける」といった本当に些細なことで問題ありません。これなら誰にでもできます。

物事を先延ばしにせず、「すぐやる人」になるためには、「とっかかり」、つまり行動に初速をつけることがポイントになります。

今回は、この小さなアクションを活用して、行動に初速をつけ、すぐ動けるようになる方法を2つ紹介していきましょう。

①仮決め・仮行動でとりあえずやってみる

思うように動けない人の共通点の1つに「ちゃんと決めてから動きたい」「失敗しないようしっかり計画を立てたい」という心理があります。もちろん、何も考えず、準備もせずに行動しても成果が出ることは少ないでしょう。

一方で、考えることばかりに時間とエネルギーを注ぎ、それだけで終わってしまうこともよくあります。これでは本当にもったいない。

「しっかり計画を練ってから行動に移す」という考え方が、あなたを動けなくしている大きな原因となっていることもあるのです。

すぐ行動できるようになるためには、「量」→「質」という順番を意識することが大切。第一に、「行動量」を増やすこと。その後に「行動の質」を上げることがポイントです。

すぐ動けない人の大半は、この順番を守っていません。行動量を増やすという第一段階を無視して、いきなり行動の質を求めてしまうのです。

あるいは、量と質を同時に求めてしまい、身動きがとれなくなってしまう人もいます。

「すぐやる人」になりたいのであれば、「行動の質」は後まわしにして、「行動量」を増やすことを意識しましょう。

そんなときに力を発揮するのが「仮決め・仮行動」というスタンスです。たとえば、筋トレを始めたいと思っているけれど、「ジムに通うのと、自宅でトレーニングするのとでは、どちらがいいか考えている」「トレーニングウェアやシューズを用意しなければ」などと迷っている人は、とりあえず今ある動きやすい服に着替えて、5回でも10回でもいいから腕立て伏せや腹筋をしてみる。

これが、仮決め・仮行動です。

失敗しても「気付き」をゲット

こうして、とりあえずやってみると、「腕立て伏せが10回もできなかった」「筋を違えて痛みが出た」など、思ってもみなかった結果になるかもしれません。

ですが、これは失敗ではありません。行動して得られた成果です。

腕立て伏せが10回できないのなら、1日3回から始めるとか、膝をついた状態で始めるなど、自分に合った負荷のかけ方を知ることができたわけです。また、筋を違えてしまったのなら、やり方が間違っているわけですから、インストラクターがしっかり教えてくれるジムを探して通えばいいわけです。

仮決め・仮行動してみて、当初の期待や予想と違った成果が出た場合は、軌道修正をすればいいだけです。

一歩踏み出して行動することで、側坐核が刺激され、ドーパミンが出ますし、さまざまなリアクションや自分の肌感覚といったフィードバックが得られるため、今後どうするか決断しやすくなります。

慣れないうちは、躊躇することもあるかもしれませんが、一度試してみると、仮にうまくいかなくてもダメージが意外に小さいことがわかります。それをわかってしまえば、次は迷わず行動することができるようになります。

「考えすぎて何もできない」という負のスパイラルから抜け出すために、ぜひ仮決め・仮行動を実践してみてください。

②「最初の一歩」のハードルを下げる“10秒アクション”

毎朝のランニングや資格試験の勉強など、新しく始めたいことがあるのに、どうしても一歩踏み出せない。前のページでお伝えした「仮決め・仮行動」をしようと思っても、体が動いてくれない……。

そんなときに有効なのは、最初の一歩のハードルを極限まで下げてみることです。

具体的には、まず試しに10秒でできることから動いてみるのです。私はこれを「10秒アクション」と呼んでいます。これは、文字通り「10秒あればできる具体的行動」のことです。

たとえば、ランニングを始めたいのに、なかなか動けないのであれば、「最初の10秒はどんなことをするのか?」と考え、それだけを実行してみます。たとえば「シューズを履く」「ランニングウェアに着替える」といったことをとりあえずやってみるのです。

勉強であれば、「テキストを開く」、早起きであれば、「前の晩にアラームをセットする」、面倒な仕事であれば、「使用するソフトを立ち上げる」といったイメージです。

たったこれだけのことでも、劇的な変化が訪れます。

たしかに、10秒でできるアクションは些細なことです。たとえば、地方に移住したいと思いつつ何も動けていないとします。この場合、10秒でできることは、「移住候補地をネットで調べる」とメモ書きしたり、実際に移住した知人や友人を書き出したりすることくらいです。

でも、10秒アクションの段階で失敗する人は誰もいません。「失敗しない」からこそ、その後の行動につながるわけです。

10秒着手してみてスムーズにいくのであれば、そのまま続けましょう。10秒アクションがきっかけとなってその後、勉強、ランニング、筋トレ、仕事、片づけなどが15分、30分続いたというのは、よくあることです。

この10秒アクションの効果は、脳科学的に証明されています。

前述のとおり、人間の脳は生命維持のため、できるだけ変化を避け、現状を維持しようとする防衛本能が働いています。

一方で脳には先述したとおり「可塑性」という性質があり、ほんの少しずつであれば変化を受け入れると言われています。つまり、10秒という小さなアクションであれば、脳は変化に対応できるのです。

また、10秒アクションという小さな一歩でも、側坐核を刺激する効果があります。

やる気が起きるのを待っていても永遠に行動することはできません。「まず動く」ことで、やる気は後からついてくるのです。

ぜひ、みなさんも「仮決め・仮行動」「10秒アクション」を試してみてください。


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