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最近の気に掛かる記事:ニューズウイーク日本版 船津徹

<はじめは内容を理解するよりも「英語をスラスラ読むこと」に集中しましょう。そのためには「超簡単な本」からスタートすることが大切です。また、多読の前提となるのが「正しい発音」。日本語っぽい発音の矯正は、YouTubeやオーディオブックが役立ちます>

日本の英語教育で見落とされているのが「多読」です。英語のテキストをスラスラと速いスピードで読む指導がほとんど行われていないため、中学、高校、大学と10年間英語を学んでも実用的な英語力が身につきません。

多読と聞くと分厚いペーパーバックを長い時間かけて読み解く「修行」を連想するかもしれません。しかし実際には、多読は、読みやすく、やさしい英語をたくさん読むことで読解力を育成し、英語力全体の向上を図るものです。

多読は、日常的に英語を聞いたり話したりすることがない日本では極めて効果の高い学習法です。英会話のように相手はいりませんし、本一冊あれば、生きた英語に、いつでも、どこでも、触れることができるのです。

多読のスタートは「リーダーズ」

あまり知られていませんが、英語の本には単語や文法が簡易化された「リーダーズ」と呼ばれる「読みやすく、やさしい本」がたくさん開発・販売されています。リーダーズは単語や文法に制限を設け、徐々に難易度が上るように作られているので、初心者から上級者まで、読書を通して英語力を伸ばすことができます。

内容は古典文学、映画や演劇の原作、自伝、ミステリー、コメディー、SF、ノンフィクションなど多種多様であり、学習者の好みや興味に合った本を選ぶことができます。

原書を読むことは難しくても、リーダーズ版であれば平明な英語に書き直してありますから、「シェークスピア」「シャーロックホームズ」「嵐が丘」などの名作や古典文学も自力で読み進められることに驚くはずです。

世界的に有名なリーダーズといえば、「Pearson English Readers(旧ペンギンリーダーズ)」です。Pearsonのウェブサイトでは、年齢、レベル、ジャンル、英語の種類(アメリカ英語・イギリス英語)に応じて本を検索するシステムがあります。これを活用することで学習者にベストマッチの本を見つけることができます。

Pearsonのリーダーズは、単語数200語(英検4級レベル)から、単語数3000語(英語準1級レベル)まで、7レベルに分かれています。まずは今の自分のレベルよりも1ランク低い本からスタートすることをお勧めします。最初から難易度の高い本、長すぎる本にチャレンジすると、挫折することが多くなります。

Pearsonリーダーズには、英語の文字学習を始めたばかりの子ども向けのシリーズもあります。アニメや漫画のキャラクターが登場する本、グリムやアンデルセン童話など、子どもたちに人気のストーリーが豊富にありますので、ぜひお子さんの英語教育にも活用してください。

超簡単な本をたくさん読むことが大切

多読を成功させる秘訣は「難しすぎる本を読まないこと」に尽きます。やさしくて短い本を一冊読み切ることで、「英語の本が読めた」という達成感と成功体験を積むことができます。

「こんなに簡単に読めていいの?」というくらいやさしい本をたくさん読むことで、活字に対する抵抗感が減り、英語をスラスラと早いスピードで読む力が養われていきます。

たとえば単語数200語の本であれば、2分程度で1冊を読み終えることができます。たった2分間ですが、ストーリーは最初から最後までしっかりと完結していますから、読書後に物足りなさを感じることはありません。

同じ本を何度か繰り返し音読し、読みの流暢さ(スラスラ読める状態)が伴ってくると、理解力も深まっていきますから、自分の英語力が向上していることが実感でき、英語学習へのモチベーションがアップします。

最初はすでにストーリーを知っている作品のリーダーズ版を読んでみましょう。多読はできるだけ辞書を引かずに、英語を英語のまま読み進めることがポイントです。ストーリーが分かっていれば、いちいち頭の中で日本語に翻訳することなく、英語のまま読み進める力を鍛えることができます。

英語を読む時、一行一行頭の中で日本語に翻訳していると、読むのに時間がかかり、読みの流暢さが身につきません。また二度読み、戻り読みが多くなるとストーリーの流れが掴みづらくなります。多読に慣れるまでは、理解よりも「英語をスラスラ読むこと」に集中しましょう。そのためにも「超簡単な本」からスタートすることが大切です。

フォニックスで正しい発音を身につける

多読の前提となるのが「正しい発音」です。自己流の読み方、日本語アクセント(母音が残る)が強い読み方では、読書スピードが遅くなる上、実際の会話の場面で通じないことが多くなります。この問題を解決するためには「フォニックス」で英語の正しい発音を身につけることが有効です。

フォニックスというのは、「A=ア」「B=ブ」「C=ク」というように、アルファベットの「文字」と「発音」の法則を学ぶ学習であり、英語を「正しい発音で読む」ために欠かせないプロセスです。

日本の子どもたちが最初に「ひらがな五十音」を習うように、英語圏の子どもはフォニックスで英語の読み方を学びます。フォニックスは「子どもが」読書力を身につけるための学習法ですが、大人もフォニックスを学ぶことで、発音を劇的に向上させることができます。

今はインターネットを活用すれば、無料でネイティブ講師からフォニックスを学ぶことができます。YouTubeで「Phonics」「フォニックス」と検索してみましょう。たくさんのフォニックス動画を見つけることができます。

もう一つ、正しい発音を身につける効果的な取り組みが「サイトワーズ/Sight Words」です。サイトワーズは英語の頻出単語であり、英語の本を読む時に必ず目にする単語です。ちなみにサイトワーズの最初の10単語は「the, of, and, a, to, in, is, you, that, it」です。どれも知っている単語ですが、正しく発音するのは結構難しいですね。

サイトワーズは、よく見る単語を、よく見る順に学習していくシンプルな取り組みですが、高い学習効果が期待できます。というのも、あらゆる活字化された英語の「50%は頻出上位100単語」のサイトワーズで、そして、「65〜70%は頻出上位300単語」のサイトワーズで構成されているからです。

サイトワーズはリーダーズを読む時に繰り返し登場しますから、正しい発音を身につけておくことをお勧めします。こちらもYouTubeで検索すれば、動画を見つけることができます。

発音が日本語っぽいという場合の矯正方法

フォニックスやサイトワーズ学習は面倒だ! という方は、本の朗読音声を活用すると発音向上に効果的です。メジャーな本であれば、YouTubeで朗読動画が見つかるかもしれません。手元に英語の本があれば、タイトルをYouTubeで検索してみてください。

また、オーディオブックと呼ばれる本の朗読音声も役に立ちます。Amazon.com(アメリカのサイト)はAudibleと提携して「本の朗読音声」をMP3形式で販売するサービスを提供しています。

最近は日本の図書館でも「英語多読コーナー」を設置する動きが広がっています。リーダーズやオーディオブックを無料で借りることができますので、利用しない手はありません。ぜひ最寄りの図書館に問い合わせてみてください。

最後に、繰り返しになりますが、多読を成功させるポイントは「やさしい本を読むこと」です。幼稚すぎる、簡単すぎる、と思わずに、読みやすく、やさしい英語の本を読むことで、子どもから大人まで、英語を英語のまま理解できる「英語脳」を実現することができます。


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