発表者:加藤 寛康 2020年7月4日
■ディスカッションしたい内容
・「ブランド」を維持するための「定義」の必要性。
・定義を作ったことで守られているブランドは?
・逆に定義がないことで失墜したブランドは?
世界のウイスキーと比べて「定義」が明確に規定されていないジャパニーズウイスキー。そのためジャパニーズウイスキーと呼ぶにふさわしくない、製品が流通しておりジャパニーズウイスキーの「ブランド」への信頼が揺らいでいる。
NYタイムズ
Some Japanese Whiskies Aren’t From Japan. Some Aren’t Even Whisky.
https://www.nytimes.com/2020/05/29/dining/japanese-whisky.html
■参考資料
①ジャパニーズウイスキーの現在の状況を知る
(1)世界的な洋酒品評会で高い評価を受ける
サントリー山崎ブランドだけでも30以上の受賞歴
https://www.suntory.co.jp/whisky/yamazaki/award/
(2)プレミア価格がつく
・「イチローズモルト」カードシリーズの54本セット
香港のオークションで約1億円で落札
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019081700166&g=int
・山崎55年100本限定品、価格1本300万円
申し込み殺到で抽選。応募総数20万で倍率2000倍との噂。
https://www.suntory.co.jp/news/article/13651.html
(3)日本産ではないジャパニーズウイスキーが市場に広く出回る
上記(1)(2)の結果、ジャパニーズウイスキーの世界的人気が高まり、ジャパニーズウイスキーを名乗るウイスキーが多く生まれる。
スコットランド産の原酒で作られたウイスキーが「ジャパニーズウイスキー」として販売されている状況。
https://www.nytimes.com/2020/05/29/dining/japanese-whisky.html
②ジャパニーズウイスキーの歴史を知る
1853年 ペリーの黒船で日本に初めてウイスキーが持ち込まれる
1920年 マッサン(竹鶴政孝)がスコットランド留学
1923年 日本初のウイスキー蒸留所、山崎蒸留所開設
→まもなくジャパニーズウイスキー100周年
1980年代 【ウイスキー販売全盛期】
ウイスキー消費量過去最大の40万キロリットルに到達
サントリーオールド(通称:ダルマ)が年間1240万ケース販売
2000年代 【ウイスキー冬の時代】
ウイスキー消費量10万キロリットルにまで激減
2010年代 【ジャパニーズウイスキー バブル期】
<国内>連続ドラマでマッサン放映、ハイボールブーム
<海外>コンペティション受賞による注目度上昇
③ジャパニーズウイスキーが品薄&プレミア価格になってしまっている理由を知る
▶2000年代から2020年にかけて、急激な需要増加によって原酒不足になったから。
<原酒不足までの流れ>
2000年代の「ウイスキー冬の時代」に生産量を減らし、2000年代の原酒が少なかった。
→その状況で、2010年代に急激に需要が増したため、販売できる原酒が不足してしまった。
→現在販売できるジャパニーズウイスキーは少なく品薄状態に。
<ウイスキーの原酒不足が発生してしまう原因>
ウイスキーは、樽での熟成に長期の時間がかかり、製品化まで通常10年程度かかるお酒。
10年後の需要の予想は難しく、原酒不足が発生してしまう。
<今後の供給量の見込み>
2010年代後半頃より、ウイスキー各社が生産量を大幅に増強。
→2025年頃には供給も安定すると予想。
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